沈香・伽羅・白檀

正式名称は「沈水香」です。その香りは甘味、辛味、苦味、酸味、鹹味などで 表現されます。主な産地はベトナム、タイ、ラオス、カンボジア、インドネシ ア、マレーシア、中国海南島であり、ジンチョウゲ科アキラリア属またはゴリスチラス属の常緑高木に由来します。沈香となる原木自体には香気がなく、樹木が傷を受けた際に真菌類が作用し、長い年月をかけて薫香を発する樹脂が生成されることで沈香となります。また、沈香は香料としてだけでなく、さまざまな用途に使用されています。

伽羅は沈香の一種であり、香木の中でも最高級品とされています。その香りは、涼しさを伴う辛味と長く続く甘味に加え、酸味、苦味、鹹味のバランスが非常に優れており、奥深い芳香を放ちます。産地は極めて限られており、主にベトナムと中国の特定地域でのみ産出されるため、非常に希少性が高く、高価な香木として知られています。かつては天皇や将軍などの最高権力者、貴族、高僧、豪商といった限られた人々しか手にすることができないほどの貴重なものでした。特に最上質とされる伽羅は、ベトナムのダクラク省南東部、チューヤンシン山周辺か らダクラク省、ラムドン省、カインホア省、さらには中国海南島にかけての山間部の森林地帯で産出されます。その香りは、沈香の持つ五味 (甘・辛・酸・苦・鹹)のす べてを調和よく含み、極めて洗練された芳香を放つことで知られています。

白檀は、主にインド、インドネシア、フィジー、オーストラリアなどの熱帯・亜熱帯地域で産出される香木です。中でもインド産の白檀は特に高品質なものが多く、非常に評価さ れています。
一般的に、インドやインドネシア産の白檀は深みのあるコクのある香りを持ち、穏やかで ありながら力強い芳香を放ちます。一方、フィジーやオーストラリア産の白檀は、清涼感 があり、さわやかな香りが特徴で、より軽やかな印象を与えます。どちらも異なる魅力を 持ち、白檀ならではの芳香を楽しむことができます。